うそつきペン
「見てこれ。昨日あのペンを使ってバイト代を3倍にしたの」


財布から1万円札を何枚も取り出し、見せびらかしながら夕子は言った。


あたしはそのお金から視線を逸らせる。


夕子がどんな方法でお金を稼いでいるのか、普段の行いを見ているとなんとなく予想がついた。


誰かから奪ったとか、人を貶めて稼いでいるに違いない。


「すごいよねぇあのペン。不都合なことが全部チャラになるんだから」


相変わらず、夕子はわけのわからないことを言って笑っている。


まぁ、あたしにはどうせ関係のないことなんだろうけれど……。


「あ、そうそう。あたしが動画を流出させたこともなかったことになったから」


「動画……?」


「あれ? 本当に何も覚えてないんだねぇ」


夕子は瞬きをしてあたしを見る。
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