うそつきペン
昨日はこの『野崎文具店』でしか買い物をしていないのだから、間違いない。


「こんな商品、うちでは取り扱ってないハズだけど」


そう言われてあたしは「え?」と首を傾げた。


「ほら、ここってレトロなデザインの文具ばかりを集めてるでしょ? でもこの商品はそういうデザインでもないし、なによりバーコードがついてないのよね。

値段がわからない商品にはちゃんとラベルを貼るようにしてるのに、それもついてない」


確かに、それはあたしも気になった部分だった。


「とにかく、このお店のものじゃない商品を受け取る事はできないわ」


女性はそう言うと、あたしにペンを差し出して来た。


咄嗟に受け取ってしまう。
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