うそつきペン
けれどみんなあたしたちのことを遠巻きに傍観しているだけだった。


「お前が全部命令したんだろ。男から金を貰って春子に痴漢してもいいって言ったのも、お前だったんだろ!」


隆二の怒号が響き渡り、近くにあった机が蹴り飛ばされた。


その音だけで委縮してしまいあたしは隆二を見上げたまま凍り付いてしまった。


隆二がなにを言っているのかわからない。


隆二はなにかを勘違いしてる。


そう思うのに、声は恐怖で喉に貼りついたまま出てこなかった。
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