うそつきペン
見上げると、そこにはあたしを憐れんでいるような顔をした夕子が立っていた。


「まぁ、その気持ちはわからなくはないけどね。あたしも、アユリの立場なら使ってる」


夕子はさっきからなにを言ってるんだろう?


「だけどまぁ、仕方ないよね。これが本当の未来だったってこと」


本当の、未来……?


「春子が来たぞ」


隆二の声にハッとして顔を上げた。


教室に入って来る春子の姿が見える。


隆二から春子へすでに連絡が行っていたのか、春子はあたしを見るなり敵意むき出しの表情をこちらへ向けて来た。
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