うそつきペン
なによりも、ツグミに裏切られて悪者になったことが辛かった。


「そうだったの……」


女性はあたしの話をすべて聞き終えて、息を吐きだした。


「ごめんなさい。仕事があるのに……」


あたしがそう言うと、女性は優しい笑顔を浮かべてくれた。


「大丈夫よ。今日はもう臨時休業にしたから」


「お店いいんですか?」


「たまには平気」


そう言ってくれる女性にホッと息をはきだした。


今日初めて誰かの優しさに触れたような気分になる。
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