うそつきペン
そう言いながらも、胸に違和感が広がって行く。


本当に2度目だろうか。


ツグミと一緒に来た後、もう1度来てはいなかっただろうか?


そう思って記憶を巡らせてみるが、やはりなにも思い出せなかった。


「覚えてないの? あなたは買った覚えのないペンが入ってましたって、持って来てくれたのよ。だけどそれはこのお店のペンじゃなかったから、また持って帰ってもらったんだけど」


「ペン……?」


女性の言葉になぜか鼓動が早くなった。


そういえば夕子もしきりのペンがどうのこうのと言っていたことを思い出す。


そして夕子の胸ポケットに入れられていたペン……。
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