うそつきペン
……なんだ。


夕子だってこんなもんなのか。


そう思った瞬間、頭の中で何かがフラッシュバックした。


あたしを見下していた人間が弱かったことが、過去にもあったはずだ。


だけどそれは誰だったのか、なぜそんなことを思ったのか思い出す事ができなかった。


「あたしのペン返せよ!」


あたしは夕子の胸倉をつかんで怒鳴った。


「離せよ!」


夕子は暴れ、後ろから朱里ちゃんがあたしの体を引きはがそうとする。


それでもあたしはやめなかった。


今ここで諦めたら、もう二度と大切なものを取り返す事ができない。


そんな気がした。
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