うそつきペン
こうなるともう止まらない。


傍観していただけのクラスメートたちも一緒になり「掃除! 掃除!」と、声を上げ始めた。


あたしは雑巾を持ったままその場に呆然と立ち尽くしてしまった。


このクラスにあたしの味方なんて誰もいない。


どこをみても、あたしをあざ笑う顔しかない。


そう思うと途端に胸が重くなった。


ずぶずぶと泥沼の中へと沈み込んでいくような感覚がして、立っていられなくなった。


「じゃ、よろしくねぇ」


夕子の明るい声を真治の笑い声が聞こえてきて、クラスメートはあたしを置き去りにして教室を出て行ってしまったのだった。
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