うそつきペン
そこまで考えた時、教室のドアが開いて全員の視線がそちらへ向かった。


そこには足首に包帯を巻いた春子が立っていたのだ。


あたしは驚きのあまり息を飲み、その光景をマジマジと見つめていた。


「あはは! 来たよ、自転車と激突した人が!」


夕子が大きな声でそう言い、ゲラゲラと笑う。


春子はそんな夕子を無視して自分の席へと歩いていく。


しかし、途中で黒板に書かれている文字を見つけて、慌ててこちらへやってきた。


「誰が描いたの」


春子の険しい声が飛び、教室内は静かになる。
< 77 / 281 >

この作品をシェア

pagetop