うそつきペン
白けた表情で席へと戻って行く生徒もいた。


けれど、夕子はニヤニヤと粘りつくような笑顔を浮かべたまま、そこの残った。


「夕子が描いたの?」


「そうだよ。そっくりでしょ?」


「幼稚なことはやめて」


春子はそう言い、黒板消しを手にする。


「あたしのことだって誰かが黒板に書いたじゃん」


「そんなの知らない。あたしじゃないし」


春子は怒った口調でそう言い、落書きを消して行く。
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