うそつきペン
「本当は春子が描いたんじゃないの?」


夕子の言葉に春子は動きを止め、目を見開いて夕子を見た。


クラス委員である春子がそんな幼稚なことをするハズがない。


夕子だってそれを理解していてわざと言っているのだ。


「今、なんて言った?」


春子の目が吊り上がる。


声は低く、怒りを隠しきれていない。


あたしは咄嗟に夕子の手を掴んでいた。


「やめなよ夕子……」


いままで春子が怒ったところなんて見たことがないけれど、ピリピリと張りつめた空気が漂っているのがわかる。


これ以上怒らせない方がいい。
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