うそつきペン
あのペンがあれば、あたしもツグミと同じようなしっかり者になれるかもしれない。


あたしがしてしまった失敗はすべて嘘になり、他の人の失敗になるのだから。


そう思うと心がスッと晴れて行くような気がした。


あたしはもうドジでもないし、トロくもない。


もしなにかしてしまったとしても、すべてなかったことにできるんだから。


最初は返さなければいけないと思っていたけれど、今のあたしはもうそんなこと微塵にも考えてはいなかった。


あのペンはきっと神様があたしにくれたものなんだ。


毎日頑張っても報われないあたしを見て、助けてくれているんだ。


本気でそう信じていたのだった。
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