うそつきペン
もう1度振り返って確認する勇気がない。


心臓は早鐘のように打ち、全身から血の気が引いて行って今にも倒れてしまいそうだ。


まさか痴漢……?


そう思っていたときだった。


後方から立て続けにシャッター音が聞こえて来たのだ。


あたしは弾か枯れるようにして振り向く。


するとさっきの男性がスマホを片手に手げて行くのが見えたのだ。


「待って!」


咄嗟に追いかけようとする。
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