うそつきペン
そう考えただけで、もう生きてはいけない気持ちになった。


あたしはグズグズと鼻をすすりあげ、机に向かった。


こんな最低な出来事今すぐ嘘にしてしまいたい。


あたしの身に起こった出来事じゃなく、誰かに擦り付けてしまいたい。


その思いでうそつきペンを取り出した。


これを使っても自分自身の記憶は消えない。


一生残り続けるだろう。


でも……。


誰かがあたしの代わりに傷つくことで、あたしはきっと救われる……。
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