強制食料制度
両親は海外で働いて家にはいないと言っていたけれど、室内はとても綺麗だ。


「ここで1人暮らしなんてすごいね」


「そんなことないよ。自分の部屋くらいしか使ってないし」


和文はそう言い、キッチンへと続く戸を開けた。


途端に寒々しさを感じて身震いをする。


「寒いだろここ。後から増築したんだ」


「増築したって、キッチンを?」


「あぁ。昔はコンクリートで固められてカマドが置いてあったんだ」


そう言われてあたしは目を丸くした。


カマドなどは古民家の写真で見たことがある。


キッチンというより、ほとんど外に近い場所だったことを思い出した。


「そこまで古い家には見えないよね」
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