強制食料制度
「……海外には食料は沢山あるの?」


「あぁ。でも、日本の食糧難の影響は出て来てて、食品の価格は徐々に高くなってきてるらしい」


「そうなんだ……」


やっぱり、日本だけの問題ではないようだ。


他の国では食料の栽培ができるだけ、まだマシだろうけれど。


「日本に災害が連続してきた時、国のトップの一部は海外に避難した」


和文はそう言いながらカップラーメンの蓋を開けた。


日本ではなじみのない香りがする。


あたしは食欲をそそられて、パンの袋を破った。


「それなら、和文も両親と一緒に海外へ逃げればよかったのに」


「そうしたかったよ。でも、海外では日本人受け入れが制限されるようになったんだ」


「え……?」


「一度海外へ逃げる事ができても、期限付きでまた戻ってこなきゃいけなかったりするらしい」


「どうして? 海外には沢山食料があるんだよね!?」
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