強制食料制度
☆☆☆

目が覚めた時、周囲は暗くなり始めていた。


和室の壁にかけられた振り子時計を確認すると、夕方7時を過ぎている。


頭は随分スッキリしているし、体も軽い。


ようやくちゃんと休めた気分だ。


客間を出て居間へ向かうと和文がテレビを見ながらラーメンを食べている所だった。


「起きたか」


「うん。ありがとう、ゆっくり休めた」


ニュース番組では《強制食料制度》の新しいターゲットになった、あたしのことが放送されている。


顔写真や名前、住所に電話番号。


それだけじゃない。


あたしがどのように育ち、どんなことをしてきたかまで詳しく説明されている。
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