強制食料制度
デジカメは和文の顔に当たり、よろけて包丁を手放した。


あたしはデジカメを投げた瞬間に畳に落としたカッターナイフを握りしめていた。


「テメェ!」


和文が鼻をおさえてこちらを見る。


「あああああああああ!!」


あたしは雄たけびを上げながら和文に突進していた。


ナイフがなにかに突き刺さる感触がある。


和文がわけのわからない唸り声を上げる。


1度突き立てたカッターナイフを引き抜き、再び突き刺す。


無我夢中になってそれを繰り返した。


体中が赤に染まり、血に濡れた手からカッターナイフを取り落とした時、あたしはようやく動きを止めたのだった。
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