強制食料制度
☆☆☆

殺してしまった。


あたしは人を、しかもクラスメートを殺してしまった。


焦りと恐怖がないまぜになったまま、あたしはシャワーを浴びていた。


いくら洗い流してみても血がこびりついて離れないような気がした。


熱いくらいのお湯が出ているはずなのに体の震えも止まらない。


「だって……だって仕方ないじゃん!」


浴室の中、あたしは1人で叫び声を上げた。


頭を抱えて歯を食いしばる。


生きて行くためだ。


生きて行くためだ。


生きて行くためだ。


ここはもう以前の日本じゃない。


人を食らわないと生活ができない日本なんだ。


自分自身に何度もそう言い聞かせて、あたしはようやくシャワーを終えたのだった。
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