強制食料制度
あたしは自然と袋を抱きかかえていた。


「なぁ頼むよ。いくら働いても食べ物が手に入らないんだ」


「その辺にいるネズミや虫を食って生きてんだ」


「少しでいいんだ。頼むよ」


3人に追われるように後ずさりをしていたあたしは、尻餅をついてしまった。


ガサリと音がして手に何かがあたる。


それは今日の朝刊だった。


《食料難、過去最悪に》


その見出しの後、国は電気を海外に販売し、代わりに食料を貰う業務に乗り出した説明が書かれていた。


だから街から明かりが消えたのだ。
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