強制食料制度
「待って唯香ちゃん! 心配してたのよ!」


お姉さんの声を聞きつけた住人たちがあちこちから顔をだす。


まずい……。


「ターゲットがいたぞ!!」


誰かが叫んだ。


それを引き金にするように住人たちが素足のまま走って来る。


あたしも同時に駆け出していた。


親切だったあの人が。


優しかったこの人が。


鬼のような形相であたしを追いかけて来る。


笑顔を見せながらもみんな飢えていたのだ。


食料がなくて死にそうな思いをしていたのだ。
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