強制食料制度
下唇をグッとかみしめて涙をこらえ、2人の様子を確認した。


家の中にいるのは両親だけじゃなくて、親戚の人たちも一緒みたいだ。


久しぶりに見る顔ぶれに胸の奥が熱くなる。


今日はなにをしてるんだろう?


そう思った時だった。


カーテンの向こうで、ハチマキを撒き始める両親の姿を見た。


黄色いハチマキに、黒いマジックで《強制食料制度廃止!!》と書かれている。


「あ……」


《強制食料制度》に対する反対運動だと、すぐにピンときた。


デモに参加するために親戚中が集まってきているのだ。


「みんな……」
< 160 / 204 >

この作品をシェア

pagetop