強制食料制度
☆☆☆

「あんなに近くにターゲットがいると、なんか急にリアルに感じるよなぁ」


放課後、商店街の入り口まで来たときに俊和が思い出したようにそう言った。


「そうだよね」


あたしもターゲットが逃げている姿を始めて見た。


桃菜の母親がターゲットになったときには、夜中の内に家から逃げ出したようでその後どうなったのか知らない。


でも、《強制食料制度》は日本全国共通の法律だ。


逃げた先で無事でいるとは考えにくかった。


桃菜は自分の母親に降りかかった出来事のせいで、この法律のことをヒドく毛嫌いしている。


もちろん、あたしだって好きになれない法律だ。
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