強制食料制度
行方不明!?


すぐに浮かんできたのは桃菜の母親のことだった。


桃菜の母親も、身内に食べられてしまった。


「まさか……良が……?」


「違う! 親戚は海外へ逃がしたんだ!」


良が激しく抗議する。


しかし、その顔は青くなっていた。


「海外へ行くのは難しいはずだぞ」


俊和が言う。


「あの頃はまだ違ったんだ! 本当なんだよ、信じてくれよ唯香!」


良の言葉にあたしは知らない間に左右に首を振っていた。


信じられない。


今の良を信じることはできなかった。
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