強制食料制度
いつも穏やかな男の担任教師が大きな定規を黒板に叩きつけたのだ。


バンッ!


と、教室中に響き渡る音がして、クラスメートたちは静まり返った。


「話を聞くように」


そう言う先生の声はヒドく小さく、そして震えていた。


まるで何かに怯える小動物のようだ。


「一体なにが始まるんだ?」


隣の席の俊和が小声で話しかけて来たので、あたしは左右に首を振った。


今日学校で何かがあるなんて、聞いてない。


それになんだか雰囲気も妙だった。


普通じゃない。
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