強制食料制度
そう説明されてあたしはようやく納得した。


電気も水道もある。


「ここがキッチン。前の使用人が残して行った食べ物があると思うけど……」


そう言いながら戸棚を開ける良。


中にあったのはインスタントの食品だった。


今日は朝ご飯しか食べていなかったことを思い出し、空腹を感じた。


「食料を残して行く人がいるんだね」


「泊まりで使用人がいたのは随分前だからな。今は食料にお金を使わないといけないから、泊まりで働いてる使用人はいないんだ」


「そうなんだ」


やっぱり、食料難はここまで押し寄せてきているのだ。
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