定期購読ドール
写真を撮られたことで立ちあがる気力すら失われてしまった。


狭いトイレの個室でただ屈辱に耐える。


「次の休憩時間にまた来るから、ハンカチを買うかどうか決めておけよ」


アケミの言葉にハッとして顔を上げる。


二人は掃除道具のブラシを持ってトイレを出るところだった。


「ちょっとまって!」


そう言って立ち上がっても、遅かった。


二人はトイレのドアを閉めると、表からブラシをつっかえ棒にして内田を閉じ込めてしまったのだ。


「便器の水でも被って、よく考えなよ!」


アケミのそんな声が聞こえてきて、二人の足音は遠ざかって行ったのだった。
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