定期購読ドール
はやる気持ちを抑えながら和明を見上げると、唖然とした表情を浮かべていた。


なに……?


和明が見ている方へと視線を移動させる。


横断歩道の向こう側に、同じ学校の制服を着た女子生徒が一人立っていた。


鞄は持っていなくてフラフラと体を左右に揺らしている。


髪の毛はボサボサで、胸元のリボンもほどけていた


その様子は少し異常で、周囲の人たちは彼女から離れている。


「涙……?」


和明が小さな声でそう言い、アケミの体には元気が走った。


涙?


よく見てみると、それは確かに涙だったのだ。
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