定期購読ドール
「あ、やっぱり顔だ」


箱を空けてアケミが言う。


「本当だ。耳も目も鼻もついてないじゃん。気持ち悪い」


ドールの顔には三カ所ポッカリと穴が開いている状態だ。


ここに目と鼻がくっついていくんだろう。


理解していても穴の開いた人形の顔は気持ち悪かった。


「どうしよう、こんなの組み立てても気味が悪いだけだよね」


アケミは顔をしかめてドールの顔を見ている。


「それなら、パーツが全部そろってから組み立てれば?」


「そうだね。むしろ、もうドールとかいらないし」


「和明に似たドールを作るんじゃなかったの?」


「だって、もう本人が手に入ったもん」


アケミはそう言い、ドールのパーツをそのまま部屋の隅へと押しやったのだった。
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