定期購読ドール
「うん、イチゴも美味しいね!」


「だろ? ここのクレープ屋毎日出てるとは限らないから、今日はラッキーだったな」


和明がそう言って屋台へ視線を向けた時、屋台の後方から同じ制服姿の女子生徒が歩いてくるのが見えた。


ハッと息を飲み、思わず視線を逸らす。


涙だ……。


あの日、横断歩道の向こう側で見たのと同じように、頭がボサボサの状態の涙が歩いてくるのだ。


「そ、そろそろ行こうよ」


アケミは立ち上がり、和明へ向けてそう言った。


「もう? 食べてからでいいだろ?」


クレープはまだ半分以上残っている。
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