定期購読ドール
そこに捨てられていたのは人形の頭だったのだ。


耳も目も鼻もついていない、輪郭だけの顔。


それには見覚えがあった。


定期購読ドールで届いた顔だ。


目や鼻の部分はポッカリと穴が開いていて、これから届くパーツを入れるようにできている。


「人形の顔……? それにしては気持ち悪いな」


和明はそう言い顔をしかめた。


どうしてこんなところにドールの顔があるんだろう?


もしかして、千夏が捨てた?


穴の開いた顔なんて、和明の言う通り気持ち悪いだけだもんね。


「さぁ?」


それならあたしも捨ててしまおう。


アケミはそう思い、家へと歩き出したのだった。
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