定期購読ドール
どうやら、ゴミ捨て場にあったのはアケミのドールだったようだ。


「人のもの勝手に捨てないでよ」


「いいじゃない。部屋の隅に投げてあったんだから」


そう言ってお茶を飲む母親に、ムッとした表情になるアケミ。


ドールを捨てられた事よりも、無断で部屋に入られた方が嫌だった。


「今回は許してあげる」


アケミはそう言うと、大股で自室へと向かった。


顔を捨てられたのなら、組み立てていた胴体だってもういらない。


これから届くパーツも、全部捨ててしまおう。


そう思い、アケミはドールをゴミ袋へ詰め込んだのだった。
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