定期購読ドール
☆☆☆

休憩時間、アケミは一度捨てたドールをゴミ箱から引っ張り出し、透明な袋に入れ替えた。


これは立派な証拠になる。


放課後、涙に突き付けてやるのだ。


「アケミ、それ……」


今朝の騒動を知っている和明が心配そうに声をかけてきた。


「ちょっとね」


曖昧な返事をしてほほ笑むアケミ。


あまり話しすぎると、涙を呼び出していることがバレてしまう。


「大丈夫なのか? それって、昨日ゴミ捨て場で見た人形だろ?」


「元々はあたしのものだったの。だから平気」


「本当に?」


和明の言葉にアケミは頷く。
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