定期購読ドール
「そんなの……知らない……」


踏みつけられたままの体勢で、苦し気に答える涙。


「嘘はダメだよぉ。だからみんなからイジメられるんだよ?」


千夏はそう言い、ドールを袋から取り出した。


割れ目から出て来た赤い液体のせいで、ヌラヌラと輝いている。


千夏はドールの顔を涙の顔に押し付けた。


「やめて! そんなもの、あたしは知らない!」


頬が赤く染まった状態で涙は叫ぶ。


「まぁいいけどさぁ」


アケミはため息交じりにそう言い、涙から足を離した。


ようやく体を起こせたと思った次の瞬間、アケミの足が涙の腹部に食い込んでいた。
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