定期購読ドール
やめられない
赤く染まったドールを洗い流し、首に胴体を取り付けた。


「顔だけの時よりもまだマシかな……」


アケミはそう呟いて組み立てたドールを自室の窓辺に置いた。


服などの小物はまだ届いていないため、なんだか目のやり場に困ってしまう。


「布きれあったっけ……」


一旦リビングへ戻り、棚から裁縫箱を取り出して中身を確認した。


黒いフェルトの使いさしが入っていて、サイズ感も丁度いい。


アケミはフェルトとヘアゴムを一本持ち、自室へと戻って来た。


取りあえずフェルトをドールの体に巻き付けて、ヘアゴムで固定しておくつもりだった。


「これでちょっとは見えるようになるでしょ」


そう言ってドールを手に取った時、違和感に気が付いた。
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