定期購読ドール
☆☆☆

和明からの誘いを断ったのは初めてだった。


「ごめんね。今日は用事があって……」


どんな用事でも和明のためなら断る事ができた。


でも、今回だけはダメだった。


早く、千夏と一緒に定期購読を停止しないといけない。


「そっか。じゃあ、また来週な」


和明はそう言ってアケミへ向けて手を振り、教室を出て行く。


アケミは和明の後ろ姿を見送って大きなため息を吐き出した。


「大丈夫?」


和明と入れ替わりに声をかけて来たのは千夏だ。


「うん」


短く答えて席を立つ。
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