定期購読ドール
☆☆☆

自分の部屋なのに、入るのに勇気がいる。


窓辺にあのドールが座っていると思うと、全身が寒くなった。


できれば入りたくないが、雑誌は部屋の中に置いてあるから仕方がなかった。


アケミはドアの前で大きく深呼吸をし、勢いをつけて部屋のドアを開けた。


一瞬、視界の中にドールが見える。


それを無視し、真っ直ぐに本棚へと向かった。


窓を背にしているからか、背中に痛いほどの視線を感じる気がする。


大丈夫、ただの気のせいだ。


自分にそう言い聞かせ、本棚から雑誌を引き抜いた。


あとは出口まで一気に走った。


バンッ!と大きな音を立ててドアを閉め、階段をかけ降りる。
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