定期購読ドール
捨てる
アケミと千夏の二人はドールを黒いビニール袋に入れ、その中に石を詰め込んだ。


「結構重たいね」


川へ向かって歩きながら千夏が言う。


袋の重さは3キロほどになっていた。


もう二度と戻ってこないよう、川に浮かんでこないよう、石をパンパンに詰め込んだからだ。


「これだけ重たければきっと大丈夫だよ」


さっきまで青ざめていたアケミの顔も、今は赤みが戻ってきていた。


川は比較的穏やかで、周囲に人の姿はない。


中央あたりへ行けば、大人でも足が付かなくなるほどの水深があった。


「投げるよ」


アケミが一言そう言い、袋を思いっきり投げ込んだ。
< 184 / 316 >

この作品をシェア

pagetop