定期購読ドール
偽物
どうして家まで戻って来ることができたの?


いくら考えてみてもわからなかった。


ドールが川に浮かんでくるとは考えられなかったし、あの川は大人の背丈ほどの水深があるのだ。


むやみに近づかないようになっている。


「アケミ!」


家を出たところで千夏に声をかけられた。


千夏も今家を出たところみたいだ。


「千夏……」


千夏は青ざめ、慌てている。


「ね、ねぇ……今朝さ……」


そこまで言って口ごもる。


「ドールが戻って来た?」


そう聞くと、千夏は何度も頷いた。
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