定期購読ドール
「後は誰? 書店員?」


「書店員の中に知り合いはいない」


千夏は左右に首を振って否定した。


「だけど、あの店で万引きしてた……」


アケミはそう言い、頭を抱えた。


中学時代は誰かからお金を奪ったりしていなかった半面、万引きの常習犯だった。


あの店舗でも2度ほど捕まった経験がある。


「ダメだ、犯人を絞れない」


千夏はそう言って額をテーブルに押し付けた。


色んな人から恨まれることばかりしてきたのだから、自業自得だった。


それでも、この怒りを誰かへ向けなければ気が済まなかった。
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