定期購読ドール
B組を出た時、ちょうど和明が廊下を歩いてくるのが見えた。


互いに視線がぶつかる。


和明が一瞬険しい表情になり、アケミから視線をそらせてA組へと入って行った。


「ちょっと、声かけなくてもいいの?」


後方からそう言われて振り返ると、千夏が立っていた。


ハンカチを持っているのでトイレに行っていたようだ。


「今は和明所じゃないでしょ」


「そんな……。せっかく付き合えたのに」


「それより、涙の家がわかったの。行くでしょ?」


そう言い、メモしたスマホ画面を見せる。


「今から?」


「もちろん。モタモタしてたら涙がなにをしてくるかわかんないじゃん」
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