定期購読ドール
涙はふたりを見て青ざめている。


「話しがあるの」


「話しってなに? どうして家がわかったの?」


涙の質問に答えることなく、アケミはリビングへと上り込み、ソファに腰を下ろした。


青ざめた涙が慌ててついてくる。


「これに見覚えあるよね?」


アケミはそう言い、鞄からドールを取り出した。


持ち歩くのも嫌だったけれど、涙に突き付けるためにわざわざ持って来たのだ。


「なにこれ。ドロドロじゃない……」


水浸しのドールを見て涙は顔をしかめている。


ベッドの横に現れたドールは、そのままナイロン袋に入れて保管していたのだ。


「あんたがやったんでしょ!?」


アケミの怒鳴り声に涙はビクリと体を震わせ、左右に首を振った。
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