定期購読ドール
ソファから立ち上がり、テーブルを蹴りつけて怒鳴り散らす。


その様子はオモチャを買ってもらえずにだだをこねる子供のようだ。


「なんであたしが復讐なんてしなきゃいけないの?」


涙が震える声でそう言った。


「そんなの、あたしに和明を取られたからじゃん?」


肩で深呼吸をし、少し落ち着いたアケミが言う。


その瞬間、涙の表情が変わった。


「え?」


「あたしがいなければ、和明と付き合えてたもんね?」


「ちょっと待ってよ……なに言ってるの? あなたは最初から和明と付き合ってたんじゃなかったの? だからあたしは身を引いたんだけど……!?」


さっきまでの涙は引っ込み、アケミを睨み付けている。


「そんなの嘘だよ。知らなかったなんて、しらじらしいこと言わないでよね」


アケミはそう言って鼻で笑った。
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