定期購読ドール
内田や涙の前であれほど偉そうにしていたアケミも、ドールのことになると怯えきっている。


「どういう意味……?」


「……ごめん、なんでもない」


千夏はそう言い、鼻のついたドールを見つめた。


徐々に形になって行くドールを見ていると、それが昔から知っている顔に見えてくるから不思議だった。


「ねぇ、これって男の子なんだよね?」


ジッとドールを見つめて、千夏が言った。


「そう、書いてあったよね……」


当初の雑誌には男の子のドールが出来上がると書いてあった。


だけど、雑誌はいつからかすり替えられていたのだ。


性別なんてわからない。
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