定期購読ドール
千夏の声は徐々にハッキリしてきて、今目が覚めたところだと理解できた。


でも、じゃあ、あの写真はなに?


ドールの写真は昨日消したはずだ。


「とにかく、今度写真を送ってきたら許さないから!」


アケミはそう怒鳴り、通話を切った。


心臓がドクドクと跳ねて、嫌な汗をかき始めていた。


スマホをもう一度確認すると、昨日消したはずのドールが待ち受け画面になっている。


「なによこれ、どういうこと!?」


悲鳴に近い声でそう言いながら、画像フォルダを確認する。


そこには昨日消したはずの写真が残っていた。


それも一枚じゃない。


何枚も何枚も、あのドールの写真が保存されているのだ。


「ヒッ!」


思わずスマホを取り落とした。


ゴトリと音がして床に落ちたのだった。
< 222 / 316 >

この作品をシェア

pagetop