定期購読ドール
都市伝説や怖い話の中に出てくる人形たちは、昔から知られているものがほとんどだ。


雑誌を購読して組み立てるドールに呪がかけられているパターンなんて、どこを探しても見当たらなかった。


「これって、犯人が自己流でやってることなのかもね」


千夏が言う。


そうだとすれば、いくら探しても無駄だった。


自己流の呪いを解く方法なんて、余計に見つからないだろう。


そうしている間に、アケミのスマホが震えた。


《和明 今日は早退したのか? 大丈夫か?》


そんなメッセージが入ってきているが、アケミは返事をせずにスマホを鞄に入れた。


「返事しなくていいの?」


「和明のことなんて気にしてる場合じゃないでしょ」


アケミはそう言い、再び画面に視線を戻したのだった。
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