定期購読ドール
「他人の空似じゃない? ドールに似てる人くらいいるって」


そう言いながらスマホを取り出して、写真を確認する。


勝手に保存されていたドールがこちらを見てニタリと笑ったように見えて、思わず立ち止まっていた。


「アケミ?」


「……今、笑った気がした」


「え?」


千夏がスマホを覗き込んでみても、そこには表情のないドールが映っているだけだ。


「ちょっと待って、今の笑顔、どこかで見たような……」


スマホを握りしめてそう呟くアケミ。


ニタリと笑った顔に確かに見覚えがある気がした。


しかし、無表情のドールをいくら見ていても、それが誰なのかわからなかったのだった。
< 227 / 316 >

この作品をシェア

pagetop