定期購読ドール
☆☆☆

人形が燃える匂いは強烈だった。


ナイロンの溶けて行く刺激臭。


黒い煙が周囲に立ち込めて、二人は鼻を手で覆った。


炎に包まれるドールは徐々にその原型を失い始め、ドロドロとした液体に変化していく。


腹部や顔の中は空洞になっているので、表面が燃え始めると早かった。


接続したパーツが1つ、また1つと外れて溶けて消えて行く。


付けたばかりの鼻も、目玉も、ゴロリと落ちて炎に包まれて見えなくなった。


やがてその姿は真っ黒な塊となり、煙も消え、何事もなかったかのような空地へと戻ったのだった。
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