定期購読ドール
その表情はドールで悩んでいる間見ていないものだった。


人を見下し、バカにするときのアケミの表情だ。


「またなにかするつもり?」


千夏がそう聞くと「当たり前でしょ?」と、アケミは身を乗り出して答えた。


「今頃になって学校に復帰するとか、意味わかんない」


「それもそうだよね。わざわざイジメられに来なくていいっていうか……」


「でしょ!? あいつさ、まだまだあたしたちのことナメてんだよ。もっと思い知らさなきゃダメなんだって!」


内田がいなくなったため、今のターゲットは涙一人に絞られることになる。


もう一度ボコボコにしてやればまた学校にも来なくなるだろう。


「でも、一度立ち上がってきた涙はあたしたちが思うよりも強いかもよ?」


「なによ千夏。涙なんかに怯えてるの?」


アケミの言葉に千夏は目を見開いて「まさか」と、返事をした。
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