定期購読ドール
その時だった。


玄関のチャイム音が聞こえてきて、二人は一瞬にして静まり返って来た。


気持の悪い沈黙が部屋の中に立ち込める。


「誰か来たよ……」


千夏がアケミへ向けてそう言った。


しかし、アケミは左右に首を振って立ち上がろうとしない。


再び、チャイムが聞こえて来る。


「出なくていいの?」


「だって、今日は日曜日だよ」


アケミの言葉に千夏はドアへと視線を向けた。


まさか、ドールのパーツが届いた……?


ゴクリと唾を飲み込み、視線をドールへと戻る。


残るパーツは耳だけだ。
< 256 / 316 >

この作品をシェア

pagetop